日肝協では昨年１２月１９～２１日に国会の各政党に対してインターフェロン（＝ＩＦＮ）少量長期投与を医療費助成とすることなど３項目について要望しました。その要望を受けて公明党の赤松正雄議員（比例近畿ブロック、元厚労副大臣）が３月５日の衆議院予算委員会第五分科会で質問しました。
【ＩＦＮ少量長期投与について】
赤松議員
ＩＦＮ少量長期の治療に対しても公的助成をすべきと思いますがどのようにお考えか。
外山政府参考人(厚労省健康局長)
現在、肝炎医療費助成事業は、肝硬変、肝がんへの重篤化が予防可能、ウイルスの増殖作用を抑制するため二次感染予防につながる治療のうち、薬事承認、保険適用がされているものを助成対象としています。発がん抑制目的のＩＦＮ少量長期投与につきましては、薬事承認の適用外(注)のため医療費助成の対象とはしていない。また、他の病気に対する施策とのバランスから困難な面があると考えています。
(注=ＩＦＮは発がん抑制の薬事承認を受けていない)
赤松議員
患者団体の皆さんもそういうことはわかった上で政治的な判断といいますか、大きな判断を下してほしいという要望です。大臣のお考えを聞かせていただきたい。
小宮山厚生労働大臣
ＩＦＮ少量長期療法に何らかの手当てをという御趣旨は大変理解をするところです。ただ、ほかの疾病なども検討をして、お役に立てることができないか考えてみたい。
赤松議員
大臣として政治的判断をしっかり持って、引っ張っていっていただきたい。
【身体障害者認定について】
赤松議員
肝炎の身体障害の認定が肝炎患者の場合は厳し過ぎるんじゃないか。年間死亡者数が四万五千人もいながら、身体障害認定を受ける人が一割程度ということで、ぜひそうした部分を解消してほしい。
岡田政府参考人(厚労省障害保健福祉部長)
身体障害者福祉法に基づく身体障害というのは、障害が永続しかつ日常生活が著しい制限がある方を身体障害として認定するという仕組みです。肝臓機能障害の認定もこの考え方で認定基準を策定したところです。また、他の障害とのバランスも踏まえて現在の基準を設定しています。肝臓機能障害の認定は平成２２年４月から実施ですので実施状況を踏まえて、制度が適切に運用されるように努めていきたい。
赤松議員
まだスタートしたばかりという側面がありますが、劇的に転換できるように検討をして患者の皆さんの要望に少しでも応えられるようにしていただきたい。
【非環式レチノイドについて】
赤松議員
肝炎の患者の皆さんがここ数年非常に待ち望んでいる薬に、非環式レチノイドを使いたいという要望があります。メーカーから聞きましたら今、認可申請が一部足りないところがあり差し戻されているということです。認可についてはメーカーの問題かと思いますが、それとは別に海外においては、認可される前の段階から実験的に薬を使っていこうという試みもある。自己責任において未承認薬を使用可能にしてほしいという要望があるがどう考えるか。
木倉政府参考人(厚労省医薬食品局長)
非環式レチノイドは肝細胞がんの再発を抑える薬というふうに受けとめており、非常に患者さんから望まれておることもよく承知をしております。現在、世界でも初めて国内の企業が最後の第三相の試験をやっております。今後、データをそろえて申請されれば迅速に審査を進めてまいりたい。また、未承認薬を使用可能にという御要望も、きちんとした管理のもとで安全に使っていただけるよう検討を進めてまいりたい。
赤松議員
安全性をきちっと踏まえた上で、大胆にスピード感を持って対応していただきたい。
最後に薬害肝炎全国原告団、弁護団との基本合意に基づいて平成２２年最終提言を取りまとめた。この最終提言で一番かなめになるのが、第三者監視評価組織の創設を求めるということです。今国会に、この評価組織をつくる薬事法改正が出されるのか。
小宮山厚生労働大臣
早期につくるように力を尽くしていきたい。
【多くの課題があるなかから、日肝協の意を汲んでいただき、委員会質問をしていただいた公明党の赤松議員に対して厚く御礼申し上げます。今回は２４年度予算内で実行できる肝炎対策に絞って要望しましたが、すぐ実施にはなりませんでした。しかし、日肝協の「国会要請行動」がこのような国会論戦につながったことは大きな一歩ではないでしょうか】
詳細は衆議院予算委員会第五分科会速記録をご覧ください。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/003518020120305001.htm
（本記事は衆議院予算委員会速記録から肝炎問題の部分を要約して作成しました。文責＝日肝協事務局）
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