日肝協常任幹事 阿部洋一
第七回肝炎対策推進協議会(=協議会)が厚労省において3月2日に開催されました。平成23年度二回目の協議会となりますが「肝炎ウイルス検査・医療費助成などの実施状況」「肝炎研究10カ年戦略の概要」「平成24年度予算」などが主な内容でした。
平成23年度の「肝炎ウイルス検査・医療費助成」は、どちらも前年度より減少しており、何らかの抜本的な対策が必要と感じました。また、特別枠事業も三分の一ほどの自治体しか実施していません。平成23年度は肝炎対策基本指針(=基本指針)の決定が遅れたことから、特別枠事業の取組が出来ない自治体もありましたが、今年は本格的な肝炎対策を全国で実施する年にしてほしいと要望しました。
平成24年度肝炎対策予算案は239億円と、前年度より2億円ほど上回ってはいますが、肝心の肝炎治療特別促進事業(医療費助成)は10%減、肝炎ウイルス検査の促進は25%減と前年度の実績が少なかったことから大幅に減額されています。新規事業としてはB型肝炎の画期的な新治療薬の開発を目指して「B型肝炎創薬実用化等研究事業」、相談体制の整備として「専門医療機関に相談員を配置」が盛込まれています。この他、「調査・研究」をした結果で肝炎対策を進める、としている事項があります。そのなかでこの三月末に「肝炎検査受検状況実態把握事業」でウイルス検査の実態調査の報告がされ、それに基づいて検査体制などの検討が始まります。
この他「肝硬変・肝がん患者などの実態調査」なども、調査期間の途中であっても中間報告をして肝炎対策に反映していってほしいと要望しました。厚労省は肝炎対策の計画・実行にあたり自治体の実態などを踏まえているとは思われないところがあります。今回、私から「肝炎ウイルス検査の現状について」という資料を提出し、ウイルス検査などの自治体別の実態、検査人数の把握方法などを発表しました。もっと現場の実態、担当者の声を踏まえて肝炎対策を進めてほしいと思ったからです。
基本指針は特別枠事業などの施策が全国で進まなければ「絵に描いたもち」でしかありません。協議会は肝炎対策について、患者団体として国に意見を言える貴重な場となっています。今からが協議会の本領を発揮する時と思っています。
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